飛行機はなぜ南極上空を飛ばないのか
あなたは、南極へ行ったことがありますか?
自分はもちろん、ありません。
南極は寒く、凍っていて、山が多く、一般的に人間にとってはあまり歓迎できる場所ではありません。
ヨーロッパへ行く際には、ロシア上空を通るルートが一般的です。
(Trans Siberian route, TSといいます)
かつて、アメリカとソ連(現ロシア)が冷戦状態にあったときは、当時の西側ヨーロッパの国々の航空会社や日本の航空会社はソ連上空を通過することできず、アメリカ合衆国アラスカ州のアンカレッジ(ANC)を経由していました。
ANC経由を「北回り便」あるいは、「アンカレッジ経由便」と一般には言っていましたが、北極近辺上空を通過するためPolar route(ポーラー・ルート)といい、略してPOで表していました。
ですが、飛行機が南極点の上空を飛ぶことは滅多になく、南極大陸の上空を飛ぶことさえ珍しいことです。これはなぜでしょうか?
少し調べてみました。
日本人初のBoardingAreaオフィシャルブロガー PAR@Seasoned Travellerです。
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南極点の飛行は理論的には可能
現在の技術をもってすれば、南極大陸上空を飛行することは全く可能です。
ですが、南極大陸上空を運航する航空会社はありません。
なぜでしょうか。
理由としてはまず、その必要性のなさ。南半球の奥地は北半球に比べて航空便が少ないです。例えば、南半球には、混雑している路線がありません。
わざわざ南極上空を飛行して移動する理由がないからです。
天候の問題もある
また、南極点周辺では悪天候が大きな問題となります。
現代の長距離ジェット機は理論的には南極を横断することが可能であるにもかかわらず、航空機にとってはかなり不利な環境であることに変わりはありません。
大きな問題は天候です。
南極はとても寒いです。地上でさえマイナス80度になることもあります。35,000フィートでは、さらに霜が降ります。氣温がマイナス40度以下になると、燃料が凍結する可能性があります。
その分、除氷液を大量に積まなければならないでしょう。
また、もし緊急着陸をしなければいけない事態が発生した場合、南極点付近で飛行機を安全に着陸させる場所はあまりありません。
南極にあるオーストラリアのデイビス研究所の近くに2,700メートルの舗装滑走路を建設する計画がありますが、南極の国土1,420万km²に対し1本の滑走路というのはあまりに少なすぎます。
ちなみにアメリカの国土は983万4,000km²ですが、そこには5,000以上の空港があります。
仮にデイビスの近くの滑走路が先に進み、着陸する必要があるときにあなたの飛行機が近くにあるとしても、今度は視界の問題が出てきます。
この地域はホワイトアウトとひどい天候で有名です。
ホワイトアウトとは、雪に覆われた地帯の輪郭やランドマークがほとんど見分けがつかなくなる氣象条件のことです。
ホワイトアウトはパイロットを混乱させ、地平線との相対的な位置関係を見失う可能性があります。決して良いことではありません。
1979年、ニュージーランド航空(NZ)の南極観光便が山の側面に直撃し、乗員全員が死亡しました。
パイロットは目の前の山を認識できなかったんです。
40年以上経った今でも、エレバス山の墜落事故は、航空会社が南極上空の運航を妨げる要因となっています。
まとめ
現代の飛行機が南極点を越えられないわけではありません。
ですが、南極上空のフライトは上記の通り、避けるべき要因がいくつも重なっているのです。
自分はまだ、南半球へは数えるほどしか行っていません。
ニュージーランド、インドネシアとオーストラリアのみです。
Business Class Review : カンタス航空(QF) QF26 羽田(HND) – シドニー(SYD) ボーイング B747-400
いずれ、ニューカレドニア、レユニオンやマダガスカル、南アフリカ、ブラジル、ウルグアイ、アルゼンチンに行ってみたいです。
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