リヤド・エア(RX)とヒルトンの提携は、新しいサウジアラビアの航空会社であるリヤド航空のロイヤルティプログラム「Sfeer(スフィール)」の拡大フェーズの幕開けとなり、航空会社の運航開始前から航空とホテルの特典連携を実現するものです。
RXは、同社が新たに立ち上げたロイヤルティプログラム「Sfeer」における初のホスピタリティ提携として、ヒルトンをパートナーに選びました。
この協業はSfeerの初期開発段階に位置づけられており、RXが商業運航の販売を始める前から、特典提供を先行して開始するものです。
プログラム間の統合
今回の提携の中心は、Sfeerとヒルトン・オナーズとの特典統合です。
サウジアラビア在住で両プログラムに登録した会員は、ヒルトン・オナーズのゴールドステータスを30日間、世界中のヒルトンで利用できます。
この特典はSfeerのローンチを記念したプロモーションで、最初の登録者である「Sfeer Founding Members」に向けられています。
期間限定ステータスに加え、両プラットフォームの会員は、国内のヒルトンホテルでSfeerの開始を記念して特別に企画されたガストロノミー体験にもアクセスできます。
Sfeerの拡大
RXは、今回のヒルトンとの提携が大規模プロジェクトの第一歩にすぎないと述べています。
今後は新たなロイヤルティ形式、旅行先での体験、旅の計画ツールなどが追加される予定です。
Sfeerは、従来のロイヤルティプログラムでは珍しい機能も導入予定で、ポイントや特典、さらには「上級会員資格獲得対象の支出」を友人や家族と共有できる仕組みを備えます。
また、ポイントの有効期限がないことも柱の1つとして紹介されています。
RXはさらに、チャレンジ、ランキング、リワードなどを備えた“ゲーミフィケーション体験”をSfeerに組み込む計画で、2026年にプログラムが完全実装され、同社のデジタルエコシステムと完全統合される見通しです。
ヒルトンとRXの提携
ヒルトン側にとっても、この提携はビジョン2030の戦略下で最重要市場と位置づけるサウジアラビアでの存在感を強化するものです。
ヒルトンは2025年11月現在サウジアラビア国内で21ホテルを運営し、83件の開発案件を進めており、世界全体では141か国に9,000軒のホテルを展開しています。
Sfeerと連携するヒルトン・オナーズには2億3500万人以上の会員がいます。
一方、2023年にサウジアラビア政府が設立したRXは、サウジアラビアを世界的航空ハブへと変革する国家計画を支えるインフラ整備を進めています。
2030年までにサウジアラビアを100以上の都市へ結ぶことを目標に掲げ、観光拡大とサービスの近代化に沿った戦略を展開しています。
RXの機内デザインとサービス
RXは「世界初のデジタルネイティブ航空会社」を自称し、革新性とアラブの伝統美を融合させています。
機内デザインはアラブの伝統的なテントに着想を得ており、「キャノピーツイスト」と呼ばれる優雅な曲線美が特徴です。
ビジネス・エリート
* 完全個室スイート(スライド式扉)
* 32インチの4K OLEDスクリーン
* 1.98mのフルフラットシート
* Devialet技術を使ったヘッドレスト一体型オーディオ(ヘッドフォン不要)
* 1-2-1配列、中央席はダブルベッドに変換可能
プレミアムエコノミー
* シートピッチ96cm
* レッグレスト付きの深いリクライニング
* 15.6インチ4Kスクリーン
* USB-C 4ポート
* プライバシー性の高い“ウィング型ヘッドレスト”
エコノミー
* 13.4インチ4Kスクリーン
* 各席にUSB-C 2ポート
* 6方向に調整可能なヘッドレスト
カラーパレットと機内エクスペリエンス
色使いも特徴的で、濃いパープル、モカゴールド、大理石のようなストーン、ラベンダー、スカイブルー、夕暮れのピーチなど、リヤドのブランドアイデンティティを反映した「静かなエレガンス」を表現する配色です。
すべてのロイヤルティ会員は、Viasatによる無制限の無料Wi-Fiを利用でき、スポーツやニュースのライブ配信も視聴できます。
まとめ
サウジアラビアの方針に従い、機内ではアルコール飲料の提供はありません。
これはワインやシャンパンを強みとする湾岸系航空会社とは対照的ですが、快適性・テクノロジー・デザインに重点を置いたラグジュアリー体験を提供するとしています。
サウジアラビア公共投資基金の支援を受け、RXはサウジアラビアの経済多角化戦略の中心となる存在として、王国を世界的な観光・ビジネスの目的地へ押し上げる役割を担っています。
一度搭乗してみたいですね。
