アメリカとカナダのホリデイ・インでは、アラカルト形式の朝食提供を廃止し、ビュッフェのみの提供に統一するよう義務付けられるようになりました。
必要最小限の運営体制
朝食の営業時間はわずか1日3時間で、調理したての料理やオーダーメイドの卵料理の提供は禁止されています。
スタッフも1シフトにつき調理担当1名、ホール1名の合計2人で最低要件を満たします。
45名を超える混雑が予想されるときだけ、フロア係を増やすことが推奨されている程度です。
そのため、短時間に60〜80人が集中しても、フロアにはほぼ1名しかいない状況も起こり得ます。
料理の種類も細かく最低基準が定められており、用意する果物はホール2種・カット2種、シリアルは3種類など、必要量は限定的です。
「作りたて」の定義
ペストリーは室温保存で24時間まで再利用可能とされています。
ビュッフェで出さなかったものは包んで室温で保管し、翌日も「焼き立て」として提供してよいという扱いです。
余ったパンも翌日のフレンチトースト用に回すことが推奨されています。
これは必ずしも衛生的に問題があるとは言えませんが、宣伝で謳われる「毎朝手づくり」とは実態が異なります。
ジュースも同様で、ラップして冷蔵保存しておけば翌日まで使い回し可能です(最大2回の提供まで)。
容器の継ぎ足しは禁止ですが、前日のジュース自体は再利用できます。
ほとんどの食品はメーカー指定の既製品を使うルールで、ブランド名の製品(冷凍クロワッサン、クエーカーのオートミール、Simply Orangeなど)が義務付けられています。
そのため品質は均一になりますが、「シェフが腕を振るう朝食」という雰囲氣とはかけ離れています。
トッピング類も想像以上に長く使われ、ホットミールを除く多くの調味料は補充して再利用されます。
オートミールのトッピングだけは毎日新しいものに替えるよう定められています。
朝食を積極的に売るという方針
スタッフには朝食をしっかり案内して販売するよう詳しいトークスクリプトが用意され、無料だと思い込んでいる客への説明、アラカルト希望者への案内、遅れて来る客への対応、部屋付けを勧めてポイントを稼がせる誘導などが細かく定められています。
サービスは基本的に1人のスタッフが巡回する形で、テーブルサービスではありません。
コーヒー提供とビュッフェの説明をしたら、あとは見回り・片付け・会計伝票の提示が中心で、カフェテリア寄りの運用です。
まとめ
IHGもこれから、低価格帯のホテルブランドにおいては朝食も簡素化されていくのだと思います。
アメリカで始まったことはそのうち、全世界に広がります。
IHGのダイヤモンドメンバーは朝食を無料でいただくことができますが、ホテルのレベルによっては、食べなくても良いかもしれません。
自分は普段は朝食は食べませんが、ホテルに宿泊したときは動画のネタのためにいつものメニューをいただくようにしています。
いつものメニューがなければ、コーヒーのみで十分。
コーヒーも、1杯ずつマシーンで挽くタイプであれば飲まなくてもOK。
せっかくなら、キッチンで毎朝作られている朝食をいただけるようなホテルに宿泊したいですね。
