なぜヴァージンアトランティック航空(VS)は日本から撤退してしまったのか?
PAR(PRIDEAUX-ANZAI Ryosuke / プリドー安斎亮介)です。
大好きだったヴァージン・アトランティック航空(VS)が日本から撤退して1年以上経ちますが、VSには自分のような「固定ファン」が搭乗率を支えていたため、ロンドン(LHR) – 成田(NRT)便は不採算路線ではありませんでした。
では、それにもかかわらず撤退するのはなぜなんでしょうか?
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成田縛りとは?
VSが撤退してしまった理由の一つに「成田縛り」という問題があります。
成田縛りとは、国土交通省が成田空港に発着枠を持つ航空会社に対して、羽田空港に国際線を新しく就航させる場合には、成田発着便を残すよう求めている行政指導のことを指します。これは法的根拠のないものですからあくまで水面下で行われるのですが、航空会社にとっては、実質的に政府からの命令と解釈されています。
なぜ成田に縛られるのか?
なぜそのようなことをするのかというと、航空会社に対して自由に路線の申請を許してしまうと、便利な羽田空港に路線が集中してしまい、成田空港を存続させることができなくなってしまうからです。成田空港を運営する成田国際空港株式会社は政府が株式を所有する国有企業で、多くの公務員が天下っています。また、空港の整備業務や空港ビル内に入居する店舗など、経済的な波及効果も少なくありません。このため、成田空港が存続できなくなると、様々なところに影響が出てくるわけです。
このような航空行政は結果として、日本の航空会社に有利に働きます。
だから日本のキャリアの運賃はそんなに安くないんですね。
HNDに就航している航空会社はすべて、NRTにも就航しています。
残念ながら、この「行政指導」を無視するチャレンジングな航空会社は、ルフトハンザ・ドイツ航空(LH)グループくらいです。
さらに、羽田のイギリスの発着枠はBAが優位となっていて、新たに獲得するのは難しいそうです。
BAも最近自分の中では気になるキャリアに急上昇してきたのですが、VSも大好きです。
JLのLHR行きなんかいらないから、VSに割り当ててもらえないですかね。
VS、復活してほしいなぁ・・・。
イギリスへの直行便が就航していないKIXなら、それなりに需要はあると思うんですが。
会社が北米強化にシフトしている
実はVSの大株主は株式の49%を持つシンガポール航空でしたが、2012年、その49%の株式がデルタ航空(DL)に買い取られています。
これに伴い、VSはDLとのコードシェアを強化することになりました。
確かに、DLの上級会員はVSに乗る時も優遇されるし、ボーナスマイレージも加算されます。
LHR – NRT便が廃止される最大の理由は、このようなアメリカ方面重視の経営にシフトしたというのが最大の理由のようです。
現在ヨーロッパでは、ルフトハンザ・ドイツ航空(LH)グループ、エールフランス航空(AF)とKLMオランダ航空(KL)が共同経営しているエールフランス-KLM、ブリティッシュ・エアウェイズ(BA)とイベリア航空(IB)が共同経営するインターナショナル・エアラインズ・グループ(IAG)という3大航空会社が三つ巴で争っているという状況です。
VSが独自性を保つには、北米便の強化に活路を見出すしかなかったのかもしれません。
・・・イギリス大好きの自分としては、実に残念な経営方針です。
現在のVSのアジア路線はHKG/PVG/DEL
ちなみに、アジアでVSが就航している都市は、上海浦東(SHA)と香港(HKG)、デリー(DEL)です。
ちょっとDELは現実的ではないので、どうしても今VSに乗りたい場合は、日本からPVGかHKGまで行って乗るしかありません・・・。
今日の写真は、2013年当時、NRT-LHRで乗った時にもらったアメニティグッズです。
こんなにオシャレなグッズを出せるキャリアは、なかなかありません。
I miss you VS…
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