ドイツの連立政権は、航空業界向けの一連の支援策を発表し、その中には航空券税の引き下げ計画も含まれています。
2024年導入された航空旅客税の引き上げを撤回する方針を発表し、この変更は2026/7/1に発効する予定である。
前政権は航空旅客税を20%引き上げており、これについてドイツの旅行購買者協会やIATAをはじめとする航空会社団体から批判が出ていました。
格安航空会社のEasyJet(U2)やRyanair(FR)も、アクセスコストの増加を理由に、最近ドイツでの運航便数を削減しています。
今回の減税により、航空券税は路線に応じて乗客1人あたりEUR3〜14引き下げられます。
長距離路線では、税額はEUR70.83からEUR58.06に下がる予定です。
ドイツ政府が示した追加措置には、2029年までに航空交通管制料金を10%以上段階的に引き下げることや、保安検査に関連するコストの削減などが含まれています。
詳細な内容と背景
1. 航空券税(Luftverkehrsteuer)の減税内容
* 2026/7/1から、2024年5月に増税された航空券税を以前の水準に戻す。
* 業界への負担軽減額は年間で 約3億ユーロ規模と見積もられている。
* 具体的には路線によって1人あたり€3〜€14の税軽減。
* 長距離便では、税額が€70.83 -> €58.06に引き下げられる。
2. 運用コストの他の軽減策
* 航空交通管制料金を 2029年までに10%以上段階的に削減する計画。
* 空港の保安検査コストの削減も行われる見込み。
* 輸入付加価値税に関して、ドイツ国内空港への競争力を強めるために新しいモデルを導入。
* Power-to-Liquidを使った合成燃料義務の国内比率を撤回し、欧州最低ラインに調整する政策変更も含まれている。
3. **業界・団体からの反応**
* ドイツ空港協会は今回の措置を強く歓迎。「ドイツを航空ハブとして再び競争力ある場所に戻す第一歩」と評価。
* ドイツ航空協会もコスト削減に前向きな見方を示しており、税と手数料の削減が長期的な航空業界の健全性に資すると指摘。
* 一方で、環境保護団体は批判の声も。税を「環境税」的な意味合いで導入していたことから、税の引き下げは気候政策への逆戻りを懸念する。
4. **財政・政治的な背景**
* メルツ首相率いる連立政権は、航空業界のコスト負担を軽減し、ドイツの空の競争力を強化することを重視している。
* ただし、過去には財政上の制約からこの減税が延期される可能性も報じられていた。
* メルツ政権は他インフラや防衛にも予算を振り分けたいという構図があり、「どこまで財源を出せるか」が注目されてきた。
5. **業界への意味合い**
* 格安航空会社はこれまでコスト高を理由にドイツでの運航を縮小していた。今回の税引き下げは、こうした路線の一部が再開される可能性を示唆。
* また、チケット価格の引き下げにより旅行者数の回復、観光・出張の活性化、航空ネットワークの強化が見込まれる。
まとめ
コストの高いドイツ発着便の価格競争力を高め、航空業界を支えるだけでなく、観光・ビジネス旅客の促進を狙った戦略と見られます。
一方で、税軽減はCO₂排出量を増やす可能性もあり、気候対策とのバランスが課題となります。
ドイツ発のフライトはこれまであまり安い印象はなかったので、今後航空券が安くなったと感じたら予約をしてみようと思います。
