長らく閉鎖されていたキャセイパシフィック航空(CX)のパリ・シャルル・ド・ゴール空港(CDG)ラウンジが、ついに再開しました。
以前からの雰囲氣がそのまま残っているため、懐かしさのある空間に安心感を覚える利用者も多いでしょう。
ラウンジ概要
このラウンジは2012年半ばの初オープン時とほぼ同じ姿を保っており、設計はロンドンを拠点とするフォスター+パートナーズが担当。香港の「ザ・ウイング」ラウンジを手がけたのと同じチームです。
イルス・クロフォード率いるスタジオ・イルスが近年のキャセイラウンジで打ち出している、住宅的で温かみのあるデザインとは異なり、パリのラウンジは明るい木材や竹、白い大理石、黒御影石を用いた、クールでいかにも「ビジネスラウンジ」らしい印象が特徴です。
とはいえ、長期休業期間を経て、細かな改修やリフレッシュは施されています。
キャラメル色やネイビー、グレーのレザー張りのラウンジチェアが数多く配置され、座席の間には電源やUSBポートを備えた白いベンチも用意されています。
集中して作業できるCX独自の「Solus」ワークステーションも並びますが、他の多くのラウンジで見られる、より広めの「Solo」タイプと比べるとややコンパクトです。
この2種類はいずれもCX専用に開発されたもので、Soloはフォスター+パートナーズ、Solusはイルス・クロフォードによるデザイン。それぞれの設計思想の違いがよく表れています。
また、ダイニングエリアの奥には、空港ラウンジの昔ながらの名残とも言えるビジネスコーナーがあり、WindowsとMacのデスクトップPC、プリンターが設置されています。
食事面では、キャセイラウンジの象徴ともいえるヌードルバーが健在で、注文ごとに調理される麺料理やアジア系メニューが、温冷ビュッフェとともに提供されます。
ドリンクは基本的にセルフサービスで、コーヒーマシンやJingの紅茶、各種スピリッツ、そしてシャンパンも揃っています。
このラウンジには広々としたシャワールームが4室あり、滑走路を望む窓からは、世界有数の混雑空港を行き交う航空機を眺めることができます。
場所は、ターミナル2Aと2Cを結ぶ「ターミナル2AC」の2階。
ワンワールド加盟便で2Aまたは2Cから出発する対象客が利用可能です。
現在カンタス航空(QF)が案内しているターミナル2Aの「サロン・ポール・マクサンス」に代わる選択肢としても魅力的ですが、混雑時には入室を断られる可能性がある点には注意が必要です。
なお、このラウンジはフランスの有名菓子店ラデュレの店舗のすぐ先に位置しており、お土産選びにも困りません。
CDGのラウンジは、CXのネットワークで最後に再開した施設です。過去にはスタジオ・イルスの新デザインを導入する構想も語られていましたが、来年にはワンワールドがターミナル3に新しい共用ラウンジを開設するという話もあり、CDG – HKG線がT3へ移る可能性もささやかれています。
まとめ
2026年はCXのラウンジ展開にとって重要な年となりそうです。
ニューヨークでは、再開発されたJFK空港ターミナル6に同社初のラウンジが誕生予定で、現在のT8からの移転後に使用されます。
CXはJFKの新ラウンジを「旗艦級」と位置づけ、ラウンジ戦略の最前線となる数々の新要素を盛り込むと予告しています。
さらに2026年半ばには、HKGの「ザ・ウイング」ファーストクラスラウンジが、「ザ・ピア・ファースト」に着想を得た控えめで上質なデザインで再オープン予定。
その後、ビジネスクラスラウンジの改装が始まり、2026年半ばから2027年半ばにかけて続く見通しです。
