航空会社はどのようにシャンパンを選定しているのか

上空35,000フィートでシャンパンを口にするのは至高のひと時です。
そのシャンパンが選定されるまでには、驚くほど多くの考えと仕事が費やされています。
そのプロセスは、地元のワイン屋に行って「ラベルのきれいなこれください」と言うほど単純ではありません。
多くの場合、航空会社の選択肢は限られています。
その舞台裏を探ってみます。
日本人初のBoardingAreaオフィシャルブロガー PAR@Seasoned Travellerです。
航空会社のシャンパンの選び方
2024年初め、ブリティッシュ・エアウェイズ(BA)は12年間ローラン・ペリエのグラン・シエクルを使用してきたファーストクラスのシャンパンを切り替えると発表しました。
これは、ローラン・ペリエが旅行市場にグラン・シエクルを提供しないと決めたためだそうです。
シャンパン・セレクションの最大の障壁のひとつは、必要とされる量の多さです。
航空会社は世界最大のワインとシャンパンの買い手ですが、厳選されたシャンパンの在庫には限りがあるため、通常、1年分の需要を賄うことはできません。
ヴァージン・アトランティック航空(VS)は、通常のフライトで9本から12本のシャンパンを提供しているそうです。
世界最大級の航空会社であるエミレーツ航空(EK)では、ビジネスクラスとファーストクラスの乗客に年間150万本のワインを提供しており、ドバイ(DXB)のラウンジでは15万本以上のモエが開けられるそうです。
小規模なシャンパーニュ・メゾンの多くは、複数の航空会社はおろか、一社に供給できるほどのボトルを生産していません。
乗客の需要を満たすことができるのは、最大手のメゾンのみとなり、選択肢は自ずと狭まります。
これを緩和する一つの方法は、単一の供給元を持つのではなく、年間を通じてボトルのローテーションを提供することです。
ビジネスクラスのシャンパン・セレクションは通常3~4ヶ月ごとに見直され、年間約4回のローテーションが行われます。
もちろん、それでも選択肢はたくさんあります。
ローラン・ペリエ、クリュッグ、ドン・ペリニヨン、ヴーヴ・クリコ、モエ・エ・シャンドン、ポメリー、ランソンなど、主要なメゾンのシャンパンを機内で見ることは多いでしょう。
ドイツのフラウンホーファー建築物理学研究所の研究によると、機内環境の高度によって味が30%も変化するフレーバーがあり、タンニンとオークの風味がより顕著になり、ワインの味がより苦くアンバランスになるそうです。
湿度の低下は鼻腔を乾燥させ、匂いを嗅ぐ能力を低下させます。
湿度が低いと鼻腔が乾燥し、匂いを嗅ぐ能力が低下します。
機内と空港のラウンジで提供されるシャンパンが異なることが多いのはそのためでもあります。
機内サービスでは、高い高度で起こる感覚の変化を補うために、よりしっかりとした風味のシャンパンを選ばれています。
光り輝くものはすべて金
シャンパンメゾンとの提携は、航空会社自身のブランドを高めることもできます。
多くの航空会社が自らをラグジュアリーブランドと見なしたがっていますが、実際のところ、クリュッグ、ローラン・ペリエ、ドン・ペリニヨンといった会社が所有するシャンパンに比べると、航空会社の評判は比例しているとは言えなそうです。。
こうしたパートナーシップは数十年に及びます。
キャセイパシフィック航空(CX)は、クリュグ(1986年以来)、テタンジェ、ドゥーツ、ビレカート・サーモンなど、いくつかの一流シャンパンメゾンと長年のパートナーシップを結んでいます。
エミレーツ航空(EK)は、8つの主要シャンパンとの独占契約を2028年まで更新したばかりです。
ドンペリニヨン ヴィンテージ 2013、ドン ペリニヨン ヴィンテージ ロゼ 2008、ドン ペリニヨン プレニチュード 2004、モエ・エ・シャンドン ブリュット アンペリアル、モエ・エ・シャンドン アンペリアル ロゼ、モエ・エ・シャンドン グラン ヴィンテージ ブラン 2013、ヴーヴ・クリコ イエローラベル、ヴーヴ・クリコ ヴィンテージ ブラン 2015を機内で飲みたい場合は、EKに搭乗すると良いでしょう。
時間の経過とともに、パートナーシップは単に特定のボトルを機内で提供するだけでなく、さらに深まる可能性があります。
EKはモエ・エ・シャンドンとの強力なパートナーシップにより、DXBのラウンジのひとつにモエ・エ・シャンドンとの共同ブランドのシャンパン・バーをオープンしました。
一方BAは、ロンドンヒースロー空港(LHR)ターミナル5のゲートBにウィスパリング・エンジェル・バーを導入しました。
まとめ
搭乗する航空会社がどんなシャンパンを提供するのか、特にファーストクラスに搭乗する際には楽しみです。
ちなみに、これまで自分がいただいたシャンパンで記憶に残るくらい美味しい、と思ったのは、シンガポール航空(SQ)のプライベートルームでいただいたPiper HeidsieckのRare 2007です。
また何かの機会で、いただきたいですね。