パリのシャルル・ド・ゴール空港(CDG)では、複雑で分かりにくいと評判の乗り継ぎ動線を改善するため、現在の11あるターミナルの名称を全面的に見直すことが決まりました。
ただし変更が実際に利用者の目に触れるのは2027年3月からとなります。
現在のCDGでは、ターミナル1や3に加え、2A〜2D、2EK、2EL、2EM、さらに2Fや2Gなど、利用者には判然としにくい構成になっており、特に乗り継ぎ客にとっては把握しづらい状況です。
新しい構想では、空港全体をより直感的に理解できるようにするため、現在の11棟をターミナル1~7の7種類に再編します。
たとえば、現在のターミナル3はターミナル2に変更され、2Aと2Cは統合されて新しいターミナル3として扱われる予定です。
実際の変更は2027年3月ですが、来年3月以降に販売される、搭乗日が1年以上先の航空券には、新しい名称が印字されるようになります。
乗り継ぎ環境の改善へ
CDG側も、国際線や乗り継ぎ客が現在の構造では道に迷いやすいという事実を認めています。
年間7600万人のうち3割以上を占めるこれらの利用者にとって、今回の再編は大きな助けとなる見込みです。
空港は、乗客にとって「迷うことなく直感的に理解できる空港」を目指しており、新しいターミナル体系は国際的な基準にも沿ったものになると説明しています。
ターミナル番号は、車で到着する旅客やパリ北駅からのRERに乗る利用者の流れに沿う形で並べられます。
駐車場も対応した番号が付けられ、アルファベットは各ターミナル内部の出発エリアなどでのみ表示されます。
「新しい案内では、建物の外では数字を追い、内部では文字を確認するだけで済むようになります。これは世界の新しい空港で一般的な方式です」とCDGは述べています。
大規模な案内表示の切り替え
変更内容は以下の通り。
ターミナル1 -> 現行のままターミナル1
ターミナル3 -> 新しい名称はターミナル2
ターミナル2A と 2C -> 統合され、新ターミナル3に
ターミナル2B と 2D -> まとめてターミナル4へ改称
ターミナル2E -> ターミナル5に変更
ターミナル2F -> ターミナル6に
ターミナル2G -> ターミナル7に
全日空(NH)を利用する場合はそのままターミナル1、エールフランス(AF)の日本線や日本航空(JL)は2Eが使用されていたので、これからはターミナル5を利用するということですね。
表示類の差し替えは2026年9月から12月にかけて実施されますが、新しい案内板は翌3月の正式公開まで覆いがかけられる予定です。
対象となるサインは膨大で、ターミナル内で約3,000枚、駐車場に600枚、道路標識が250枚と、パリ市のおよそ3分の1に相当する面積の案内表示を更新する規模になります。
さらに、1万台に及ぶ監視カメラが適切な位置情報を認識できるよう、数百の関連システムも再設定する必要があります。
CDGエクスプレス、ついに開業へ
そして2027/3/28には、さらに大きな節目が訪れます。
パリ東駅(Gare de l’Est)とCDGを結ぶCDGエクスプレスがいよいよ運行を開始する予定です。
計画そのものは1990年代後半から存在していましたが、ようやく実現に至りました。
全区間32キロをノンストップで結び、所要時間はわずか20分。朝5時から深夜0時まで、15分間隔で運行される予定です。
空港側は、この新しい鉄道サービスによって「主要国の空港が備えているのと同等の、迅速で質の高いアクセスが提供できる」と述べています。
現在もパリ北駅からRERで約30分で空港まで行けますが、途中駅に停車するため所要時間は一定ではありません。
料金はRERがEUR13なのに対し、より高級路線となるCDGエクスプレスの運賃はまだ公表されていません。
追加料金を支払う価値があるかどうかは利用者次第ですが、少なくとも“複雑すぎるCDGを分かりやすくすること”が歓迎されているのは間違いありません。
まとめ
特に2Eは複雑さを極めていたので、簡単な表示になるのは嬉しいことです。
2Eの各ホールにあるエールフランス(AF)のラウンジもどのように表示が変わるのか、興味深いところこです。
また、RERに乗ることで聞きたくもない音楽や歌を聞かされていたので、これを聞かずに済むことになりそうなのも嬉しいですね。
