パリの交通ICカード「Navigo Easy」はeasyじゃない

パリでは2026年を目処に、紙のチケット廃止を決めています。
そこで代わりとなるのがNavigo Easy。
持っている方もいると思います。
Navigo Easyには、金額ではなく使いたいチケットを選んでチャージします。
日本の交通カードとは少し違います。
2025年からパリの公共交通機関は新料金になり、メトロ・RERはEUR2.5、バス・トラムはEUR2の均一料金になりました。
問題も出てきた
現在、Navigo Easyカードでパリのバスや地下鉄に乗るには、2種類の異なるチケットを購入しなければならなくなりました。
以前は「T+」という紙の共通チケット1枚で済んでいたのに、これはデジタル化の利点を打ち消してしまっています。
こんなシステムを考え出せるのは、お役所仕事のフランスならでは。
かつては紙のチケット1枚で、地下鉄、トラム、バスのどれにも乗れました。
しかし今では、Navigo Easyカードでメトロ用のデジタルチケットを購入しても、それはトラムやバスでは使えません。
トラムでは、別途トラム用のチケットを購入しなければいけません。
メトロ用のチケットをタップしても読み込まれず、そのまま乗車すると検札官が来て、不正乗車扱いになることも。
車内や券売機にも、「メトロのチケットはトラムでは使えない」なんて大きく表示されていません。
観光客にとっては、まったく理解不能な仕組みです。
メトロ用とバス・トラム用で別々のデジタルチケットを買う必要があるため、非常にややこしい。
しかもどちらも「バーチャル(非接触)」なのに、互換性がないのです。
当然、多くの利用者はこのシステムを知らず、バス用チケットを買っていなかったため、知らないうちに違反行為とされてしまいます。
EUR2.5のチケットがなぜトラムで使えないのか? 理解不能です。
本来であれば、メトロ用チケットでトラムやバスにも乗れるようにすべきだったし、あるいはチャージ制のプリペイド方式にするべきだったのです。
でもフランスでは、利便性より面倒くささを優先しがちです。
しかも、罰金によって新たな検札官の雇用を正当化するという、無駄な官僚システムを維持するための仕組みにすらなっています。
こうしてフランスでは、利用者の生活をわざと複雑にし、罰則を与える制度がまかり通っています。
紙のT+チケットのほうがどれだけ便利だったか。
まとめ
フランスの公共交通では、利用者の権利より運営側の都合が優先されるのが当たり前のようです。
不正乗車とならないよう、バス・トラムに乗る時はEUR2のチケットを購入することをお忘れなく。