長時間夜行便のあとに浴びる熱いシャワーほど贅沢なものはありません。
ところがホテルのチェックインまで数時間ある朝着便となると、その「贅沢」を提供してくれるのが空港のアライバルラウンジです。
手荷物受取・入国・税関を抜けた先に位置し、シャワー・朝食・急ぎのメール対応をこなしてオフィスへ向かえる、いわば「フラットベッドとホテルベッドの橋渡し」の役割を担う施設です。
設置例として挙がるのは、ドーハ(DOH)、フランクフルト(FRA)、クアラルンプール(KUL)、ヨハネスブルグ(JNB)、ムンバイ(BOM)、リオデジャネイロ(GIG)、シドニー(SYD)、チューリッヒ(ZRH)といったハブ空港。
ロンドン・ヒースローには BA・Virgin Atlantic(VS), アメリカン航空(AA), ユナイテッド航空(UA)などを擁する到着ラウンジが計6つあり、香港国際空港(HKG)の Plaza Premium も今年後半にリニューアル復活する予定。
とはいえ、世界中に何千とある出発側のラウンジに比べれば、ほんのひと握り。
なぜこれほど少ないのでしょうか。
普及しない構造的理由
一つは賃料。
Plaza Premium GroupのCEOは、LHRのランドサイド区画について「家賃が安くない」と述べ、同社も3ターミナルにあった到着ラウンジを T3 の1か所に集約済み。
二つ目は需要のばらつき。
朝夕は便が集中する一方、午後はガラガラ。
かといってピーク時はピーク時で、シャワー待ちの行列ができてしまい「スムーズな到着体験」を期待するプレミアム客の満足度を満たせない。
三つ目は退出インセンティブの欠如。
出発ラウンジは搭乗時刻になれば客は自然と出ていきますが、到着客はあまり急ぎません。
無料の朝食・場合によってはシャンパン開放となれば、長居されるのは必然。
四つ目はアライアンス契約の枠外であること。
oneworld・SkyTeam・Star Alliance のラウンジ相互利用は出発側に限られ、到着ラウンジは航空会社ごとに個別交渉。
これが運営側の収益構造を一段難しくしています。
回避策
成功例として、SYDのPlaza Premiumは、併設の Aerotel ホテルのレセプション経由で入場する設計。
同空間はホテルの朝食レストランを兼ねており、稼働率の問題を施設の多目的化で解消しています。
別解は「到着客に出発ラウンジを開放する」という発想。
シンガポール航空(SQ)は到着 First / Suites 客にチャンギの The Private Room を開放、AA は Admirals Club や Flagship Lounge の一部で同様の運用を行い、ビジネスクラス客や上級会員にも門戸を広げています。
エミレーツ航空(EK)はラウンジではなく無料ショーファー送迎で補完する立場。
ファースト・ビジネスクラスの長距離路線搭乗客なら、ホテル側のアーリーチェックイン料を払うことに躊躇はない、という読みなのでしょう。
主要到着ラウンジのアクセス条件
– BA : 当日着 First または Club World、もしくはワンワールドエメラルド
– VS : Upper Class、Flying Clubゴールド以上、Delta SkyMiles / Velocity Platinum 以上、Delta One 着の客
– QR : First / Business
– EY : First / Business / The Residence、および事前予約済みの Etihad Guest Platinum / Emerald
– Plaza Premium等 : 航空会社を問わず利用可。有料(料金は施設・滞在時間・含まれるサービスで変動)、Amex Platinum / Centurion で無料、Priority Pass も多くが対応(ただしシャワーは追加料金のケースあり)
まとめ
自分もいくつかアライバルラウンジを利用しましたがアライバルラウンジは航空会社にとってはコストでしかないのかもしれません。
そんな中でちゃんとアライバルラウンジを提供してくれる航空会社はありがたいです。
