アマデウス e-ITRの使い方、見方
日本人初のBoardingAreaオフィシャルブロガー PAR(PRIDEAUX-ANZAI Ryosuke / プリドー安斎亮介)です。
あなたは、旅行へ行くときのeチケット控えを印刷する画面で、こんな画面を見たことがありますか?
これはGDSのアマデウスという会社が提供している、旅行会社などで作成された予約からeチケットを表示する「e-ITR」というシステムです。
※ちなみに「ITR」は、”ITinerary Receipt”の略です
パッと見て内容が全てわかる人は旅行業界の人か、相当マニアックな人かどちらかだと思いますが、今日は、この「e-ITR」の使い方、見方を説明します。
知っているだけでもお得な情報がわんさかありますよ。
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e-ITRの情報を読み解く
eチケット控えの中にはどんな情報が入っているのか、実際に見てみましょう。
e-ITRのサイトへアクセスすると、こんな画面が表示されます。
ここで、旅行会社または航空会社から提供された6桁の英数字を予約番号へ入力し、名字と名前もそれぞれ入力します。
ただし、旅行会社から提供された予約番号で、必ずしもe-ITRでeチケット控えを表示できるとは限らないので注意が必要です。
別のGDS(インフィニやトラベルポート)のシステムでeチケット控えを表示しなければいけない場合もあるので、こちらもわからなくなったら旅行会社へ連絡しましょう。
また、航空会社で直接予約を行った場合もe-ITRを利用することは可能ですが、その航空会社が自社の予約システムとしてアマデウスを採用していない場合には表示できませんので注意してください。
それでは、表示されたeチケット控えの情報を、
・通常の航空券の場合
・特典航空券の場合
に分けて見てみましょう。
通常の航空券の場合
まずは、以前に妻が搭乗した、中国国際航空(CA)の羽田(HND) – 北京(PEK)乗り継ぎ – ロンドンヒースロー(LHR)の片道の旅程です。
画像に番号を振ってみました。
順番に、説明をします。
1. 予約番号
航空会社または旅行会社が作成した航空券の、予約番号です。
この予約は旅行会社で行ったのですが、e-ITRを利用できるということは、この旅行会社はアマデウスを利用して予約したことがわかります。
1Aというのは、アマデウスを示す2桁のコード、次の2桁のコードが航空会社を表すコードになります。
航空会社の2桁コードの次に表示されている6桁(航空会社によって5桁)の英数字が、その航空会社のシステムで管理されている予約番号になります。
これを、キャリアロケータと言います。
ここで、1Aと書かれている番号とキャリアロケータの番号が一致する場合、その航空会社は自社システムとしてアマデウスを利用している、ということがわかります。
どの航空会社がどのシステムを採用しているかがわかると、後に述べるように色々なことができるようになりますよ 😉
2. チケット番号
3桁 – 10桁の形で別れて表示されています。
これは、前3桁がその航空会社を示す数字、後ろ10桁がその人の航空券番号になります。
つまり、CAを表す航空券番号上の数字は「999」ということになります。
この3桁は、航空会社によってもちろん変わってきます。
3. 発券事業所
どの航空会社の名前で航空券が発券されたか、がわかります。
先頭3桁が「163」の場合には、この航空券は航空会社の日本支店、または日本で発券されたものです。
163というのは、日本を表す番号なんですね。
4. マイレージ番号
予約時に登録された、マイレージ番号が表示されます。
ただし、一度マイレージ番号を登録した後で加算する航空会社を変更する場合、その航空会社が利用している予約システムがアマデウスでない場合(= 上述の予約番号が1Aのものと航空会社のもので異なる場合)には新しいマイレージ番号情報は反映されないのでご注意ください。
本当に登録されているかどうか不安な場合は、直接航空会社へ問い合わせた方がよいでしょう。
5. 座席
予約時に登録された、座席番号が表示されます。
最後の”N”は、本来は表示不要なのですが表示されてます^^;
“Neutral”の”N”なのですが、座席指定のリクエストをした後にこのNも一緒に返却されて来てしまいます。
こちらも、座席の変更をした場合には、上記同様新しい番号が表示されないことがあります。
6. ブッキングクラス
搭乗する座席の、ブッキングクラスです。
このブッキングクラスを基に、加算されるマイレージの積算率を調べることができます。
7. ミールリクエスト
ベジタリアンミールなどのリクエストを行った場合、ここに表示されます。
ちなみに、AVMLというのは、「ヒンドゥー教徒向け野菜食」を示すコードです。
※実際はアジアンテイストのベジタリアンフードでした
どのコードがどの食事に相当するのかは、以前の記事でまとめています。
8. 支払い方法
CASHまたはCCCF + (マスキングされた状態の)カード番号が表示されていると思います。
旅行会社にはクレジットカードで払ったのに支払い方法がCASH?
と思う方もいるかもしれません。
これは、クレジットカードを支払ったのは「旅行会社」に対してであって、航空会社(精算を司るBSPという団体)にカードで支払ったわけではないため、CASHと表示されているんです。
航空会社のサイトで直接購入をした場合には、ここがCCCF + (マスキングされた状態の)カード番号になっているでしょう。
9. 空港税等
航空券は、
・運賃
・諸税
で成り立っています。
この「諸税」の中に、燃油サーチャージであったり、空港利用料だったりが入っているのですが、運賃以外にかかる費用を全て「諸税(TAX)」として2桁のコードで表示し、それぞれの金額がわかるようになっています。
例えばこの画像の例でいうと、
・YQ : 燃油サーチャージ
・YR : 保険料
・SW : (HNDの)空港利用料
・OI : 旅客保安サービス料
・CN : (PEKの)空港利用料
という具合です。
それぞれのコードがどんな意味になるのかは、以下のサイトをご覧ください。
https://www.infini-linx.com/OtherInfo/zei/index.html
10. 運賃計算情報
運賃を算出する根拠となる数字(計算式)を表示しています。
これを、FARE CALCULATIONと言います。
NUCというのが、運賃を計算するための基準となる単位(実際はUSDです)で、NUCにROE(各国通貨の換算レート)を掛けると、運賃が算出できます。
※Neutral Unit of Constructionの略です
FARE CALCULATIONをどう読むかですが、この画像の例でいうと、
/FC TYO CA X/BJS CA LON384.91NUC384.91END ROE114.311000
・東京(TYO)から中国国際航空(CA)に乗って、北京(BJS)で乗り継ぎ(X/)、また中国国際航空(CA)に乗ってロンドン(LON)まで行く旅程
・運賃はNUC384.91
・換算レート(ROE)はJPY114.311000
となります。
384.91 × 114.311 = JPY43999.447
となりますが、100円単位で切り上げになるのでJPY44,000です。
画像中の「運賃」の金額と一致しましたね。
ちなみに、
TYOは東京の都市コード(HND, NRT, OKOが含まれます)
BJSは北京の都市コード(PEK, NAYが含まれます)
LONはロンドンの都市コード(LHR, LGW, LTN, STN, BQH, LCY, SENが含まれます)
を表します。
このFARE CALCULATIONですが、航空券によっては表示がされない、または具体的な数字が入っていないことがあります。
これはなぜかというと、Farecalを利用して航空券の価格を割り出すことができるのですが、航空会社や航空券の卸売を行っている旅行会社(ホールセラーと言います)が卸した価格(これをNET額と言います)がわかってしまうため、一般ユーザーには見せたくないから、という理由があります^^;
あなたが購入した金額の卸値は実はいくらいくらで、ホールセラーの利益はこれくらいなんだな、と世に知られてしまうのがやだ、という航空会社・ホールセラーから要望によるものです。
11. 制限事項等
業界用語的には「エンドース」と言われる欄で、この航空券に関する制限が書かれています。
この画像の例でいうと、
・NON END(他航空会社への振替利用不可)
・PENALTY APPLS(変更・キャンセルには手数料がかかります)
という意味です。
運賃がとても高い航空券なんかは、例えばJLの航空券を購入したけどNHに搭乗する、なんてことができるものもあります。
特典航空券の場合
次に、特典航空券の場合です。
例は、ブリティッシュ・エアウェイズ(BA)でロンドンヒースロー(LHR)からリーズ(LBA)まで、特典航空券でのフライトです。
1. 予約番号
画像中では消していますが、1Aの欄に表示されている番号とBAの欄に表示されている番号が同じでした。
つまり、BAは自社システムとしてアマデウスを利用している、ということがわかります。
2. チケット番号
BAを指す3桁のコードは、「125」ということがわかります。
3. 発券航空会社
特典航空券の場合には、表示されません。
マイレージを利用して予約し、発券したのですからマイレージを利用した航空会社が表示されてしかるべきだと思うんですが・・・。
4. 発券事業所
特典航空券の場合、表示がされる時とされない時があります。
日本語のWebサイトを利用して特典航空券を予約した場合には、日本の発券事業所が表示されるようです。
5. マイレージ番号
特典航空券予約においても、マイレージ番号は表示されます。
ちなみに、特典航空券を利用した場合にはマイレージは加算されません。
マイレージを利用してのフライトの場合のブッキングクラスは大体、
・エコノミークラス : X
・ビジネスクラス : U
となっています。
6. 支払い方法
運賃の支払いがないので、表示がされません。
7. 空港税等
特典航空券の利用であっても、TAXはちゃんと払わされます。
予約時に支払った諸税と同じ金額が、ここに表示されることになります。
8. 運賃計算情報
FARE CALCULATIONは、ROEだけ数字が入ってきます。
NUCもわかりませんが、払ったのはTAXだけなので、あってもなくても良い情報ですかね。
見方がわかるとこんな使い方もできる
さて、e-ITRの読み方がわかったところで、実際にどういう形で使うことができるんでしょうか?
代表的なのは、特にBAのAviosで特典航空券を利用した後、座席指定を行う場合ですね。
キャリアロケータを知るために、e-ITRを利用します。
ブリティッシュ・エアウェイズ(BA)のサイトで予約したJAL(JL)の特典航空券の座席を指定する
あとは、旅行会社や一部の航空会社で航空券を購入した際、ブッキングクラスが表示されていなくてマイレージの積算率がわからない!という場合があると思います。
そんな時に、このe-ITRを利用すればブッキングクラスが表示されているので、それを元にどのくらいマイレージが貯まるのかを予め調べることができますね。
あとは、こんなマニアックな使い方もできます。
まとめ
いかがでしょうか。
何が書いてあるか全くわからないeチケット控えも、これで読めるようになりましたね。
読めるようになった分、マイレージや航空券ごとのルールを意識するようになり、何か航空券に関するトラブルがあった時も旅行会社の言いなりにならずに済むケースがあるかもしれません。
ブッキングクラスが予約した時と発券した時で異なっていたから加算されるマイレージが少なくなった!とか、そんな時はこのeチケット控えを基に旅行会社と戦いましょう。
これらの情報を知って、あなたのこれからの旅が少しだけ楽しくなれば、自分にとってとても嬉しいことです。
COMMENTS & TRACKBACKS
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Do you have this artibles in English?
Thank you for your comment, unfortunately it’s not yet, but I’ll write down soon 😉